「アプリをまたいで仕事を進めてくれる」と聞いて、本当かどうか試したくなった
ChatGPT Workが公開されて以来、「目標を伝えるだけで複数のアプリやファイルをまたいで作業を進めてくれる」という触れ込みをあちこちで見かけるようになった。Web制作会社で日々の事務作業もこなしている身としては、正直「また大げさな宣伝文句だろう」と半信半疑だった。
とはいえ、無料プランからでも試せると分かったので、実際に社内の定型作業をいくつか任せて、どこまで本当に「任せて放置」できるのかを検証してみることにした。
結論から言うと、ファイルの整理や下準備のような「間違えても被害が小さい作業」は驚くほどよく働いた一方で、数字を転記したり途中で判断を挟む作業は、こちらが見張っていないと静かに間違えることが分かった。この記事では実際に試した内容と、そこから決めた「任せていい作業」の線引きをパターン別にまとめる。
実際にやってみた
複数ファイルにまたがる月次報告の下準備は驚くほど速かった
まず、表計算ソフトにまとめた月次の実績データと、過去の報告書のフォーマットをそれぞれ用意し、「この実績データを使って、過去のフォーマットに沿った報告書の下書きを作って」と指示した。
結果は上々で、複数のファイルを読み込んだ上で、フォーマットの見出し構成や言い回しをきちんと踏襲した下書きを数分で用意してくれた。これまでは自分で数字をコピーしながら文面を整えていた作業だったので、下準備としての時短効果ははっきり感じられた。
集計した数字をそのまま転記させたら、桁がずれている箇所があった
下書きができたところで、報告書に転記された数字を元データと突き合わせてみた。すると、一部の項目で合計値の桁がずれていたり、前月比の符号(プラスマイナス)が逆になっている箇所が見つかった。件数としては多くないが、報告書に数字の誤りがあるのは業務上かなり困る。
もう一度同じ指示を出すと今度は正しい数字になったが、同じ指示でも毎回同じ精度が出るとは限らないという点は、実務で使う上で無視できない挙動だった。
TOI
文章の下書きは毎回そこそこ良い出来なのに、数字の転記だけは当たり外れがあるのが不思議だった
ファイルの整理・命名ルールの統一は安心して任せられた
次に、社内共有フォルダに雑多に置かれていたファイル群を「決めた命名ルールに沿ってリネームして、種類ごとにフォルダ分けして」と頼んでみた。こちらは判断の余地が少ない単純作業ということもあり、指示通りに整理してくれて、確認しても誤りは見当たらなかった。時間のかかる地味な作業を任せられたのは素直にありがたかった。
「進捗を報告して」とだけ伝えて放置したら、途中の判断を勝手に決められていた
最後に、複数の作業をまとめて依頼し、「終わったら進捗を報告して」とだけ伝えて他の仕事に戻ってみた。しばらくして戻ると作業自体は完了していたが、報告書の中でどの数値を「主要な実績」として強調するかという本来はこちらが判断すべき部分まで、AIが自分の解釈で決めて進めてしまっていた。間違いではないが、意図とはズレた強調のされ方をしていて、結局その部分は自分で書き直すことになった。

結論: ChatGPT Workにどこまで任せていいか
検証した結果、任せていい作業とそうでない作業がはっきり分かれた。
パターンA: フォーマットに沿った下書き作成 → 任せてよい
過去の資料の型を踏襲した文面の下書きは、時短効果が大きく、こちらで最終チェックする前提であれば任せて問題ない。
パターンB: 数字の転記・集計を含む作業 → 必ず自分で突き合わせる
合計値や前月比など数字が絡む部分は、同じ指示でも精度にばらつきが出ることがあるため、報告書として使う前に必ず元データと突き合わせる。ここを省略すると気づかないまま数字の誤った資料が社内外に出てしまう。
パターンC: 判断を含む「丸投げ」 → 任せてはいけない
何を強調するか、どう解釈するかといった判断が絡む部分を「進捗を報告して」とだけ伝えて放置すると、意図とズレた形で進んでしまうことがある。判断が必要な工程では、途中経過を都度確認する運用にした方がいい。
実際に運用している手順
検証を踏まえて、今はChatGPT Workを次の手順で使っている。
- 下書き作成や整理などの定型作業から任せる: フォーマットの踏襲やファイル整理のような、間違えても被害が小さい作業を優先して任せる
- 数字が絡む成果物は必ず元データと突き合わせる: 合計値や前月比などは目視でのダブルチェックを省略しない
- 「進捗を報告して」で長時間放置しない: 判断が必要な工程が含まれる依頼は、途中経過を区切って確認するようにする
- 同じ指示でも結果が変わりうる前提で扱う: 一度うまくいっても、次回も同じ精度が出るとは限らないと考えておく
TOI
「丸投げできる自律エージェント」というより「地味な下準備を高速でやってくれる部下」くらいの距離感がちょうどいいと感じた
まだ登場したばかりの機能なので、精度は今後のアップデートで変わっていく可能性が高い。ただ現時点では、「任せて放置」ではなく「任せて、要所だけ確認する」という距離感で付き合うのが実務では安全だと感じている。
まとめ: ChatGPT Workを使う前に確認すること
- フォーマットに沿った下書き作成やファイル整理は任せてよい。時短効果がはっきり感じられる
- 数字の転記・集計が絡む作業は、必ず元データと突き合わせてから使う。同じ指示でも精度にばらつきが出ることがある
- 「進捗を報告して」とだけ伝えて長時間放置せず、判断が必要な工程は途中経過を確認する
- 「丸投げできるかどうか」ではなく「地味な下準備を任せられるかどうか」で評価すると、実務での距離感がつかみやすい
新しい機能ほど「できること」ばかりが話題になりがちだが、実際に手を動かして「何を任せてはいけないか」を先に把握しておくと、余計なトラブルを避けながら時短の恩恵だけを受け取れるはずだ。



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