クライアントのFigmaデザインフィードバック、ChatGPTに一次整理させてみたら「相反する指摘」の板挟みだけは解決してくれなかった話

業務効率化の実践記録

デザインカンプに40件超のコメントがついた日の憂鬱

Web制作の仕事をしていて地味にしんどいのが、クライアントに共有したFigmaのデザインカンプに、複数の担当者からバラバラにコメントが付く瞬間だ。今回のケースは、トップページのデザインカンプをクライアント社内で回覧してもらったところ、マーケティング担当・営業部長・広報担当の3人からそれぞれ独立にコメントが入り、気づいたら40件を超えていた。

コメントは時系列にFigma上に散らばっているだけで、「デザインそのものへの指摘」「文言の修正依頼」「そもそもの仕様に関する質問」「優先度が分からない思いつき」が全部混ざっている。これを1件ずつ上から読んで対応方針を考えると、それだけで半日が溶ける。しかも困ったことに、営業部長のコメントと広報担当のコメントが真逆の方向を向いていることが後で判明した。

TOI

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コメント数が多いこと自体は怖くない。怖いのは、どれが「今すぐ直すべき指摘」でどれが「聞き置くだけの感想」か、読むまで分からないことだ。

そこで今回は、Figmaのコメントをテキストで書き出し、ChatGPTに一次整理を任せるところから修正を始めることにした。

ChatGPTにコメントの仕分けを任せてみた

使った手順

  1. Figmaのコメントパネルを開き、各コメントの「投稿者名・対象箇所・本文」をそのままコピーしてテキストファイルにまとめる(Figmaにはコメントをまとめてエクスポートする機能がないため、この手作業だけは省略できない)
  2. ChatGPTに、コメント一覧を「①デザイン変更の指摘」「②文言・テキスト修正」「③仕様・機能に関する質問」「④優先度不明な感想・思いつき」の4カテゴリに分類させる
  3. 同じ意図のコメントが複数人から重複して出ている場合は、まとめて1件に統合させる
  4. カテゴリごとに、対応の緊急度(今回のリリースまでに必須/次回改修で可/要相談)の仮判定もつけさせる

プロンプトはこんな形にした。

あなたはWeb制作会社のディレクターです。
以下はクライアント社内の複数担当者からFigmaに
ついたコメント一覧です(投稿者名・対象箇所・本文の順)。

【やってほしいこと】
1. 各コメントを次の4カテゴリに分類する
   ①デザイン変更の指摘 ②文言・テキスト修正
   ③仕様・機能に関する質問 ④優先度不明な感想
2. 同じ意図の指摘が複数人から出ている場合は
   1件に統合し、誰から出た指摘かを併記する
3. カテゴリごとに、対応の緊急度
   (必須/次回改修で可/要相談)を仮判定する
4. 内容が矛盾する指摘があれば、削除せずに
   「矛盾あり」として別枠でリストアップする

【コメント一覧】
(ここにコピーしたコメントを貼り付け)

40件の仕分けは数分で終わった

コメントをそのまま貼り付けて数分待つだけで、40件超のコメントが4カテゴリに整理され、重複していた指摘も統合された状態で返ってきた。特に助かったのが、マーケ担当と広報担当がそれぞれ別の言い回しで出していた「ファーストビューのキャッチコピーを直してほしい」という趣旨のコメントを、AIがきちんと同じ意図として1件にまとめてくれたことだ。手作業だと表現の違いに気を取られて見落としがちな重複を、機械的に拾ってくれるのは素直にありがたかった。

「④優先度不明な感想」に振り分けられたコメントが全体の3割近くあったのも収穫だった。「なんとなく古い感じがする」「もう少しおしゃれにしてほしい」のような、対応方針を決めようがないコメントがどれだけ紛れ込んでいたかが可視化され、これらは後日クライアントに「具体的にどの部分か」を聞き返す対象として別管理にできた。

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でも「矛盾する指摘」の板挟みはAIには解決できなかった

仕分け自体は快調だったが、「矛盾あり」として別枠に出てきたリストを見て、ここからが本番だと気づかされた。

営業部長は「電話番号と問い合わせボタンをファーストビューにもっと大きく出したい」、広報担当は「ファーストビューは余白を活かしてスタイリッシュに見せたい」と、ほぼ同じ場所に対して正反対の要望を出していた。ChatGPTはこの矛盾を「矛盾あり」として正しく検出はしてくれたし、「両者の意図を両立させるレイアウト案」をいくつか提案してもくれた。ただ、その提案はあくまでデザイン上の折衷案であって、「そもそもこのクライアント社内で最終的にどちらの意見を優先すべきか」という力関係や意思決定の順序までは判断できない。

これは当然といえば当然で、ChatGPTはコメントの文面しか読んでおらず、営業部長と広報担当のどちらが最終決裁に近いか、過去の類似案件でどちらの意見が通ってきたかといった、社内政治的な文脈を知らない。「両立案を出す」ところまではAIの仕事だが、「誰の意見を立てるか」を決めるのは、結局こちらがクライアント窓口に確認するしかなかった。

TOI

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折衷案を3つ出してもらった時点で「もう解決した」ような気になってしまうのが危ない。決めるべきは「どの案にするか」ではなく「誰の意見を立てるか」で、そこはAIの提案を材料に、自分でクライアントに聞きに行くしかなかった。

最終的には、矛盾リストをそのままクライアントの窓口担当に共有し、「どちらの方針で進めるか、社内で先に握ってから戻してほしい」と一言添えて投げ返す形にした。仕分けと折衷案づくりの時間を大幅に短縮できた分、その時間を「誰に決めてもらうべきか」の見極めに回せたのは大きかった。

パターン別、Figmaフィードバック整理でAIに任せていい部分・いけない部分

  • 大量コメントのカテゴリ分類(デザイン/文言/仕様質問/感想) → 任せて良い。機械的な分類は速く、抜け漏れも人手より少ない
  • 表現違いの重複コメントの統合 → 任せて良い。同じ意図の指摘を見落とさず拾ってくれる
  • 緊急度の仮判定(必須/次回改修で可/要相談) → 任せて良い。ただし「仮」判定であることを前提に、最終確認は自分で行う
  • 矛盾する指摘の折衷案づくり → 材料としては任せて良いが、それを採用するかは別問題
  • どの担当者の意見を優先するかの判断 → 自分でやる。社内の力関係や過去の経緯はAIには分からない
  • 「優先度不明な感想」への聞き返し方 → 自分で考える。抽象的な感想の裏にある本音を引き出す質問は、関係性を踏まえた対応が必要

実際にやってみて分かった、ChatGPT活用の得意・不得意

ChatGPTに任せて良かった部分

  • 40件超のコメントを4カテゴリに分類し、重複を統合するところまでを数分で終わらせてくれること
  • 表現の違いで見落としがちな「同じ意図の指摘」を機械的に拾ってくれること
  • 矛盾する指摘を検出し、両立させる折衷案の叩き台を出してくれること

自分でやるしかなかった部分

  • 矛盾する指摘のうち、どちらの意見を優先すべきかという社内政治的な判断
  • 「優先度不明な感想」の裏にある本音を、関係性を踏まえて聞き返すこと
  • Figmaのコメントをテキストとして書き出す手作業そのもの(エクスポート機能がないため)

まとめ

  • クライアント社内の複数人からFigmaに大量のコメントがついたら、コメントをテキストで書き出しChatGPTに「デザイン変更/文言修正/仕様質問/優先度不明」の4カテゴリで分類させると、数分で全体像が把握できる
  • 同じ意図の重複コメントの統合や、緊急度の仮判定まではAIに任せて問題ない
  • ただし複数の担当者の指摘が正反対を向いている「矛盾あり」のケースは、AIが折衷案は出せても「誰の意見を優先するか」までは決められないため、クライアント窓口に先に社内合意を取ってもらう形に投げ返すのが安全
  • 「優先度不明な感想」に分類されたコメントは、対応方針を決めようがないので、具体化するための聞き返しリストとして別管理にしておくと後で楽になる
  • 次は、この仕分けフォーマットをテンプレート化して、次回以降のフィードバック回収時にクライアントへ最初から「カテゴリ付きで書いてもらう」依頼ができないか試してみたい

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