クライアントからの「ちょっと直して」系修正依頼メール、ChatGPTに一次仕分けさせてみたら「緊急度の目安」はつけられたが、「本当に急ぎかどうか」の見極めまでは任せきれなかった話

業務効率化の実践記録

Web制作の仕事をしていると、毎日何通も届くのが「ちょっとここ直してほしいんですけど」系の修正依頼メールだ。件名は「サイトの件」「先日の修正」くらいしか書かれておらず、本文を読まないと緊急度も作業量も分からない。朝メールボックスを開いて、上から順に返信していたら、実は一番あとに読んだメールが今日中に対応すべき案件だった、ということが何度もあった。

結論から言うと、ChatGPTに修正依頼メールを読ませて「緊急度」「想定作業量」「不足している情報」を機械的に仕分けさせるやり方は、朝の一次仕分けを速くする効果はたしかにあった。ただし「本当に急ぎかどうか」「このクライアントは今どういう状況にあるか」といった背景込みの判断までは任せられず、最終的な優先順位づけは結局自分でやり直す羽目になった。今日はその境界線を、実際に使ったプロンプトと一緒に書いておく。

何に困っていたか

修正依頼メールが厄介なのは、書き手によって書き方がバラバラなことだ。エンジニア寄りの担当者なら「トップページのバナー画像を差し替えてください。ファイルは添付の通りです」と一目で分かるが、非エンジニアの担当者からは「なんかスマホで見たときに文字が変になってるんですけど直せますか」のような、状況を推測しないと着手できないメールが来る。

さらに厄介なのが、緊急度の表現が控えめなクライアントだ。「お手すきの際で構いませんので」と書いてあっても、実は展示会の前日で今日中に直さないと困る、というケースがあった。逆に「至急お願いします」と書かれていても、こちらで確認すると特に締切があるわけではなく、ただの口癖だったということもある。文面の丁寧さと本当の緊急度は、必ずしも一致しない。

TOI

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「お手すきの際で」を真に受けて後回しにしたら、実は今日納品予定だった案件だった…なんてヒヤリ、一度や二度じゃない。

試したこと:ChatGPTに一次仕分けをさせる

そこで、朝メールを開いたらまず本文をそのままChatGPTに貼り、以下のようなプロンプトで機械的に仕分けさせることにした。

使ったプロンプト

以下はWeb制作会社に届いたクライアントからの修正依頼メールです。
この内容を読んで、次の4項目を出してください。

1. 想定される作業内容(一文で)
2. 想定作業量(軽微/中規模/要見積もりのいずれか)
3. 文面から読み取れる緊急度(メール内の言葉遣いのみで判断。実際の緊急度ではなく「文面上そう見えるか」を出す)
4. 着手前に確認すべき不足情報(ファイル形式、対象ページ、希望納期など)

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(ここにメール本文を貼る)

ポイントは3番目の項目を「文面から読み取れる緊急度」と明示的に限定したことだ。最初は単に「緊急度を判定して」と頼んでいたが、それだとChatGPTが文面の丁寧さだけを根拠にもっともらしい緊急度を断定してしまい、結果を鵜呑みにしかけたことがあった。「これはあくまで文面上の見え方であって、実際の緊急度は別に自分で判断する」と役割を切り分けてからは、扱いやすくなった。

実際の出力例

「なんかスマホで見たときに文字が変になってるんですけど直せますか」という一文だけのメールに対しては、次のような結果が返ってきた。

  • 想定作業内容:スマホ表示時のレイアウト崩れの修正(原因調査含む)
  • 想定作業量:要見積もり(原因不明のため調査が先)
  • 文面上の緊急度:低〜中(口語調で切迫感の記述なし)
  • 不足情報:対象ページURL、崩れている端末・ブラウザの機種、発生時期(最近の更新後か)

実際にはこのクライアントは翌日に会社説明会でサイトを使う予定があり、緊急度は「高」だったのだが、それはメール本文には一切書かれていなかった。文面だけでは分からない事情は、当然ながらAIにも分からない

やってみて分かった良かった点

  • 不足情報のリストアップが速い:返信で「対象ページのURLを教えてください」「発生している端末を教えてください」と聞き返す一往復を、最初のメールに箇条書きで盛り込めるようになり、往復回数が減った
  • 作業量の見立てが早い:「軽微」「中規模」「要見積もり」の3段階に振り分けてくれるだけで、朝のメールチェックの段階でどれを先に着手すべきかの土台ができる
  • 表現のクセに惑わされにくくなった:「文面上の緊急度」と割り切って見ることで、丁寧な文面を無条件に後回しにする、という自分の思い込みに気づけた
TOI

TOI

正直、不足情報を聞き返す文面を毎回一から考える手間がなくなっただけでも、朝の10分くらいは浮いた感覚がある。

やってみて分かった限界点

一方で、次の2つは最後まで人間の判断が必要だった。

1. 本当の緊急度は、文面の外にある情報で決まる

展示会前日、上長からの指摘、他社への切り替え検討中など、実際の緊急度を左右する事情はメール本文に書かれていないことがほとんどだ。これはクライアントの過去のやり取りや業界の繁忙期を知っている人間でなければ判断できない。

2. 「重要顧客かどうか」の重みづけはAIには渡せない

同じ「軽微な修正」でも、契約金額が大きいクライアントや、長年の付き合いがあるクライアントからの依頼は、実務上優先度が上がる。これは社内の力関係や契約状況の話であり、メール本文だけを渡すChatGPTには判断材料がそもそも与えられていない。仕分けの初速は上がっても、最終的な優先順位の決定権は手放せない

パターン別にどう運用しているか

結局、今は次のようなルールで落ち着いている。

  • 文面上の緊急度が「高」と出た場合:そのまま優先度を上げて対応する(誤検知のコストより見逃しのコストの方が大きいため)
  • 文面上の緊急度が「低〜中」の場合:ChatGPTの仕分け結果を参考にしつつ、そのクライアントとの直近のやり取りを自分の記憶やメール履歴で確認してから優先順位を決める
  • 重要顧客・大型契約のクライアントからのメールの場合:仕分け結果に関わらず、その日のうちに一次返信だけは入れる運用にしている
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まとめ

  • クライアントからの修正依頼メールは、ChatGPTに読ませて「想定作業量」「不足情報」「文面上の緊急度」を機械的に仕分けさせると、朝の一次対応が速くなる
  • ただし「文面上の緊急度」と「実際の緊急度」は別物であり、混同すると見誤る。プロンプトで役割を明示的に限定するのがコツ
  • 重要顧客かどうかの重みづけや、メールに書かれていない背景事情は、AIには渡せない情報なので人間が最終判断する
  • 次のアクションとしては、「文面上の緊急度が高」と出たメールは即対応、それ以外は自分でクライアントとの背景を確認してから優先順位を決める、という二段構えの運用が現実的

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