納品するサイトのプライバシーポリシー、ChatGPTに雛形を作らせてみたら「型」は速かったが「業種特有のリスク」までは拾ってくれなかった話

業務効率化の実践記録

Web制作の仕事をしていると、サイト公開の直前になって必ず出てくる作業がある。「プライバシーポリシーのページ、まだ入ってないですよね?」というクライアントからの一言だ。お問い合わせフォームがあるサイトなら実質必須なのに、要件定義の段階では誰も言い出さず、公開1週間前になってから慌てて作ることが何度もあった。

結論から言うと、プライバシーポリシーの「型」(取得する情報の項目、利用目的の書き方、開示・訂正・削除請求の窓口といった定型パート)をChatGPTに下書きさせるのはかなり使えた。ただし、そのクライアントの業種特有のリスク条項(採用サイトなら個人情報の保管期間、ECサイトなら決済代行会社への第三者提供の明記など)は、こちらが業種を伝えて具体的に聞かない限り出てこない。今日はその境界線と、実際に使ったプロンプトを書いておく。

※これは法律相談ではなく、Web制作の現場での下書き作成の工夫の記録です。公開前は必ず顧問弁護士や専門家のチェックを挟んでください。

何に困っていたか

プライバシーポリシーは「どのサイトにもだいたい同じことが書いてある」ように見えて、実は業種によって書くべき内容が違う。採用ページがあれば応募者の個人情報の扱いを、ECサイトなら決済情報の扱いを、会員登録があればCookieやアクセス解析ツールの利用を、それぞれ個別に書く必要がある。

これまでは既存の別クライアントのポリシーをベースに文言を置き換える「コピペ改変」で対応していたが、前のクライアントの業種に合わせた条項がそのまま残ってしまい、実態と合わない文章を納品しかけたことが2度あった。忙しい公開直前のタイミングでゼロから業種ごとに書き直す余裕はなく、かといって使い回しは危ない。この板挟みをどうにかしたかった。

TOI

TOI

「とりあえず前のサイトのポリシーをコピーして名前だけ変えとくか」がいちばん危ない、と自分に何度も言い聞かせている。

試したこと:業種と機能をセットで伝えてChatGPTに下書きさせる

今回はサイトの機能一覧(問い合わせフォームの有無、会員登録の有無、決済の有無、アクセス解析ツールの種類)と業種を先に伝えたうえで、プライバシーポリシーの下書きを作らせるやり方を試した。

使ったプロンプト

あなたはWeb制作会社のディレクターの下書き作成を手伝うアシスタントです。
以下の条件に合うプライバシーポリシーの下書きを作成してください。

【業種】地域の学習塾(保護者・生徒の個人情報を扱う)
【サイトの機能】
- お問い合わせフォーム(氏名・電話番号・メールアドレス・お子様の学年を取得)
- 資料請求フォーム(住所を取得し郵送で資料を送付)
- Googleアナリティクス4を導入(Cookie利用あり)
- 会員登録・決済機能はなし

【出力してほしい項目】
1. 取得する個人情報の項目
2. 利用目的(項目ごとに対応させる)
3. 第三者提供に関する記載(郵送業務を委託する場合の扱いを含む)
4. Cookie・アクセス解析ツールに関する記載
5. 開示・訂正・削除等の請求に関する窓口の書き方(雛形)
6. この業種で特に確認しておくべき注意点があれば、本文とは別に箇条書きで教えてください

※このまま公開せず、後で専門家が確認する前提の「下書き」として作成してください。

ポイントは、業種と機能を先に細かく伝えたことと、最後に「この業種で特に確認しておくべき注意点」を本文と別枠で聞いたことだ。これを入れずに「学習塾のプライバシーポリシーを作って」とだけ頼んだ1回目は、一般的なテンプレート文章がそのまま返ってきて、「お子様の学年」のような学習塾特有の取得項目が抜けていた。

実際の出力例(抜粋)

条件を細かく伝えた2回目では、次のような下書きが返ってきた。

  • 取得する個人情報:氏名、電話番号、メールアドレス、お子様の学年、住所(資料請求時のみ)
  • 利用目的:問い合わせ対応、資料の郵送、授業案内の送付
  • 第三者提供:資料の郵送業務を委託する場合、委託先名を明記するか「配送業務委託先」といった形で範囲を示す旨の案内
  • 注意点(別枠):「未成年者(お子様)の情報を保護者を通じて取得する形になるため、保護者の同意のもとで取得している旨を明記した方がよい」という指摘

この「未成年者の情報は保護者の同意のもとで取得している旨を明記」という指摘は、正直こちらが聞くまで考えていなかった項目だった。業種を具体的に伝えたことで、機械的なテンプレートの一歩先まで拾えた形になる。

やってみて分かった良かった点

  • 定型パートの下書きが速い:取得項目・利用目的・開示請求の窓口といった、どのサイトにも共通する型の文章化にかかる時間がかなり短縮できた
  • 業種と機能をセットで伝えると、一般的な注意点まで拾える:「学習塾」「未成年者の情報」のように具体的な条件を渡すと、テンプレートだけでは出てこない確認ポイントを提示してくれた
  • 「別枠で注意点を出す」プロンプトが地味に効く:本文に混ぜずに注意点だけリスト化させることで、レビュー時にチェックすべき箇所が一目で分かる
TOI

TOI

「業種を一言で終わらせず、扱う個人情報の中身まで書く」だけで、返ってくる注意点の解像度がまるで違った。

やってみて分かった限界点

一方で、次の2つは結局自分たちの確認作業に残った。

1. 業種を伝え忘れると気づかない条項がそのまま抜ける

ChatGPTは「聞かれたことには答える」が、「聞かれていない業種特有のリスク」を自発的に洗い出してはくれない。例えばEC機能があるのにその情報を伝え忘れると、決済代行会社への第三者提供の記載がすっぽり抜けたまま、一見完成した文章が返ってくる。抜けている項目があっても文章として不自然にならないため、こちらが気づかない限り見落としに気づけないのが一番怖いところだった。

2. 法的な最終チェックは専門家の領域

下書きの文言が実際の法令(個人情報保護法など)に照らして十分かどうかの最終判断は、当然ながらAIに任せられない。特に医療・金融・学習塾のような未成年者や機微情報を扱う業種は、下書きをたたき台にしつつ、公開前に必ず顧問弁護士や専門家のチェックを挟むようにしている。

パターン別にどう運用しているか

サイトの機能に応じて、次のように使い分けている。

  • お問い合わせフォームのみのシンプルなサイト:取得項目が少ないため、ChatGPTの下書きをベースに自分たちで最終確認して納品することが多い
  • 資料請求・会員登録・決済など機能が複数あるサイト:機能ごとに個別のプロンプトで確認事項を洗い出してから統合し、専門家チェックを必須にしている
  • 未成年者や医療情報など機微な個人情報を扱う業種:下書きはあくまでたたき台とし、初期段階から顧問弁護士に相談することをクライアントに勧めている
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まとめ

  • プライバシーポリシーの下書きは、業種とサイトの機能(フォーム・会員登録・決済・アクセス解析の有無)をセットで伝えるとChatGPTにかなり任せられる
  • コツは「取得項目」「利用目的」「第三者提供」「Cookie」「窓口」の項目を指定したうえで、「この業種で特に確認すべき注意点」を本文と別枠で聞くこと
  • 業種を伝え忘れると、その業種特有のリスク条項が「不自然に見えないまま」抜け落ちる危険があるため、機能の伝え漏れがないかは人間が確認する
  • 法令に照らした最終チェックはAIの領域外。特に未成年者や機微情報を扱う業種は、下書きをたたき台に専門家のチェックを必ず挟む
  • 次のアクションとしては、機能一覧のチェックリストをテンプレート化しておき、案件ごとに漏れなくChatGPTへ伝えられるようにする、という運用が現実的

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