就業規則・経費規定のPDFをNotebookLMに読み込ませて社内Q&A化してみたら、「聞かれなくなった質問」と「結局本人に聞きに来る質問」がはっきり分かれた話

業務効率化の実践記録

「有給って何日前までに申請するんだっけ」「交通費の精算、領収書なくても大丈夫だったっけ」「VPNの接続設定、また忘れた」。

うちはWeb制作会社で社員十数人、総務専任はいない。就業規則・経費精算規定・VPN接続マニュアルといった社内文書は増える一方で、みんなPDFやWordのファイルサーバーの奥に眠っていることすら忘れている。結局、同じ質問が3ヶ月に1回くらいの周期でSlackの個人DMに飛んでくる。答える側の私(エンジニア兼なんでも屋)にとっては、地味に時間を取られる作業だった。

結論から言うと、社内文書一式をNotebookLMに読み込ませて誰でも質問できるようにしたところ、「規定のどこかに書いてある事実」を聞く質問はほぼゼロになった。ただし、それで社内問い合わせが全部なくなったわけではない。「自分のこのケースはどっちに当てはまるのか」という判断が絡む質問は、相変わらず本人に届いた。この記事では、その線引きがどこにあったかを実際の運用をもとに書く。

なお、NotebookLMは2026年7月に「Gemini Notebook」へ名称変更されているが、検索ではまだ旧名の方が広く使われているため、この記事では引き続き「NotebookLM」と表記する。中身は同じGoogleのツールで、無料で試せる。

まず社内文書を全部ひとつのノートブックに放り込んでみた

やったことはシンプルで、就業規則・経費精算規定・VPN接続マニュアル・稟議のフローを説明した社内Wiki記事など、合計8つのPDFとWord文書をNotebookLMの1つのノートブックにアップロードしただけだった。

プロンプト例:「有給休暇は何日前までに申請する必要がありますか。就業規則の該当箇所も教えてください」

TOI

TOI

アップロードして5分後にはもう質問に答え始めていて、これまで何年も「規定集めて整理しなきゃ」と後回しにしていたのは何だったんだという気持ちになった

回答には該当する文書名とページ相当の引用元が添えられて出てくるので、「本当にそう書いてあるか」を自分で確認できるのも良かった。この引用元表示があるおかげで、社員にも「AIの回答を鵜呑みにせず、リンク先の原文を見てね」と案内しやすかった。

使ってみて分かった3つの差

このQ&AボットのURLをSlackの全体チャンネルに共有してから1ヶ月ほど運用して、来る質問の傾向がはっきり3つに分かれた。

差1: 「規定に書いてある事実」を聞く質問は激減した

有給の申請期限、経費精算の上限額、VPNの接続手順といった文書のどこかに答えがそのまま書いてある質問は、NotebookLMに聞いて済むようになり、私への個人DMがほぼ来なくなった。これがいちばん時間を奪っていた種類の質問だったので、体感の負担軽減がいちばん大きかった。

差2: 「自分のケースへの当てはめ」は相変わらず本人に聞きに来る

一方で、「今回のこの経費は交際費と会議費のどっちで申請すればいいか」「有給を取りたいけど今の案件の進行的に大丈夫か」といった規定の文言だけでは判断できない、個別事情込みの質問は、結局これまで通り私や上司に届いた。NotebookLMも一応それらしい回答は返すが、社員側が「これは自己判断でいいのか不安」と感じるケースでは人に確認したがる傾向があった。

差3: 文書が古い・矛盾していると、自信満々に間違った答えを返す

一度、VPN接続マニュアルが半年前の社内ツール更改前のバージョンのまま残っていたことがあり、NotebookLMはその古い手順をそのまま「正しい手順」として自信たっぷりに回答してしまった。引用元が表示されているので気づいて直せたが、もし引用元を確認せず鵜呑みにしていたら、社員が古い接続情報のまま作業して混乱していたはずだ。アップロードする文書は「最新版だけ」に絞り、古いバージョンは別フォルダに退避させる運用に直してから、この問題は起きていない。

誰でも再現できる導入手順

  1. 就業規則・経費規定・各種マニュアルなど、社内に散らばっている文書をPDFかWordで1箇所に集める
  2. 明らかに古い・重複しているバージョンは事前に取り除く(NotebookLMは複数文書の内容が矛盾していても、それを教えてくれるわけではない)
  3. NotebookLMで新しいノートブックを作り、集めた文書をまとめてアップロードする
  4. 実際に社員が聞きそうな質問を自分でいくつか試し、引用元が正しい文書を指しているか確認する
  5. 問題なければ共有リンクをSlack等に案内し、「回答の引用元は必ず確認してね」と一言添える
  6. 3ヶ月に1回など定期的に、規定改定のたびに古い文書を差し替える運用ルールを決めておく
TOI

TOI

便利なのは間違いないけど、「文書を最新に保つ」という地味な運用をサボると一気に信用できなくなる道具だと分かった

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まとめ

  • NotebookLM(Gemini Notebook)に社内文書一式を読み込ませると、「規定のどこかに書いてある事実」を聞く質問は激減する
  • 「自分のこのケースはどう判断すべきか」という個別事情込みの質問は、AI化しても結局は人に届く
  • 古い文書や矛盾した文書を混ぜてアップロードすると、AIは気づかずに古い情報を自信満々に答えてしまう
  • 引用元の表示機能を使って「回答は必ず原文で確認する」運用を最初にルール化しておくと事故を防げる
  • 導入コストは文書を集めてアップロードするだけなので、総務専任がいない小規模な会社ほど効果が出やすい

社内に散らばった規定・マニュアルの問い合わせ対応に時間を取られている担当者は、まず手元にあるPDFを5〜6個集めてNotebookLMに放り込むところから試してみてほしい。無料で、今日中に試せる規模の話だ。

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