「ホームページ、AIで安く作れるでしょ?」と言われる機会が増えた
Web制作会社で複数のクライアントサイトの制作・保守を担当していると、ここ数ヶ月で明らかに増えたのが「AIツールを使えばもっと安くホームページを作れるんじゃないですか?」という相談だ。月額3,000円以下でそれなりの見た目のサイトが作れるAIホームページ作成ツールが次々と話題になり、保守契約の更新時期や新規の見積もり相談のタイミングで、経営者や担当者から悪気なくこの質問が飛んでくるようになった。
「安く作れるでしょ」に対して感情的に「そんなことはない」と否定するだけでは、相手を納得させられないどころか、時代についていけていない業者だと思われかねない。実際にAIホームページ作成ツールでどこまでできるのかを自分でも触って確認した上で、クライアントに事実ベースで説明できる資料が欲しくなり、まずはChatGPTに叩き台を作らせてみることにした。
TOI
「安くなったのは事実」なので、そこを否定する資料を作っても逆効果だと途中で気づいた。
ChatGPTに「切り返し資料」を作らせてみた
使った手順
- AIホームページ作成ツールをいくつか自分で軽く触り、「できること」「料金帯」「操作の難易度」をメモしておく
- 自社がこれまで対応した相談内容のうち、AIビルダーの標準機能だけでは対応しきれなかったパターン(会員機能、複雑な予約システム、業種特有の表示要件など)を、案件名を伏せた一般論として書き出す
- ChatGPTに「価格を否定するのではなく、価格帯ごとに向いているケースを整理する」比較資料を作らせる
- 想定される質問に対する回答をFAQ形式で用意させ、感情的な表現を避けて事実ベースのトーンに揃える
ChatGPTへのプロンプトはこんな形にした。
あなたはWeb制作会社の担当者です。
クライアントから「AIでホームページを安く作れるでしょ?」と聞かれた際に
使う、社内向けの説明資料の下書きを作成してください。
【前提条件】
・AIホームページ作成ツールの存在自体は否定しない。実際に安くなっている
ことは事実として認める
・「制作会社は高いが安心」のような曖昧な精神論ではなく、機能・対応範囲
の違いを具体的に説明する
・以下の情報を元に、価格帯ごとに「向いているケース」を整理する
【AIビルダーでできること】
(自分で調べた内容を箇条書きで貼り付け)
【自社がこれまで個別対応してきたパターン(一般化した内容)】
(会員機能・予約システムなど、案件名を伏せた要望の傾向を箇条書きで貼り付け)
【出力してほしいもの】
1. 価格帯・対応範囲の比較表
2. クライアントからよく聞かれそうな質問と、事実ベースの回答(FAQ形式で5問)
3. 高圧的にならない、フラットなトーンの説明用の文章
「価格の反論」はきれいに整理された
AIビルダーの料金帯・機能範囲と、自社が個別対応してきた要望のパターンを突き合わせた比較表は、思っていた以上に説得力のある形にまとまった。「シンプルな会社紹介サイトならAIビルダーで十分」「会員限定ページや複雑な予約フローが必要な場合は個別開発が必要」という線引きを、感情論ではなく機能の有無で説明できる資料ができたのは素直に助かった点だ。
FAQ形式の想定問答も役に立った。「なぜ制作会社に頼むと高いのか」という直球の質問に対して、「制作費」ではなく「公開後の保守・トラブル対応・セキュリティ更新までを含めた費用」という切り口で説明する回答案を出してくれたことで、価格の内訳を説明する言葉に詰まらなくなった。
TOI
「高い理由」を説明する資料のつもりが、途中から「安い選択肢で十分な人も普通にいる」と認める資料になっていった。

でも「値段以外で選ばれる理由」は結局自分で言語化するしかなかった
比較表とFAQができたので、実際にこの資料をベースに、保守更新の相談を受けた際にクライアントへ説明してみた。ところが、機能比較表とFAQをそのまま見せて説明しても、思ったほど響かなかった。相手が知りたかったのは「機能の有無」よりも、「もし何かトラブルが起きたときに、自分たちはどうすればいいのか」という不安に近い部分だったからだ。
機能比較表を一通り説明した後、「サイトが表示されなくなったら、AIビルダーのチャットサポートに問い合わせて順番を待つのか、それとも電話一本で今すぐ対応してもらえるのか」という違いを自分の言葉で付け加えたところ、はじめて相手の反応が変わった。これはChatGPTが作った資料には入っていなかった部分で、実際にこれまで保守対応で何度も電話一本で駆けつけたり、深夜にトラブル対応をしたりしてきた自分自身の経験があったからこそ出てきた説明だった。
ChatGPTは「制作会社が担っている価値」を一般論としては書けるが、それが自分たちの実際の対応実績とどう結びついているかまでは知りようがない。結局、比較表とFAQは「土台」として使い、その上に自分自身が実際に経験したトラブル対応の具体例を一言添える、という組み合わせにして初めて、クライアントが納得してくれる説明になった。
パターン別、「AIで安く作れるでしょ」と言われたときの対応
- シンプルな会社紹介・実績紹介サイトで、更新頻度も低い場合 → AIビルダーで十分なケースが多い。無理に自社での制作を勧めず、正直にその選択肢を伝えたほうが信頼を保てる
- 会員機能・予約システム・複雑な検索など、独自の機能要件がある場合 → AIビルダーの標準機能では対応できないことを、比較表を見せながら具体的に説明する
- 既存クライアントの保守契約更新のタイミングで聞かれた場合 → 機能比較より、これまでの実際のトラブル対応実績(対応スピード・電話一本で済んだかどうか)を自分の言葉で添える
- 士業・医療などの信頼性が問われる業種の場合 → 価格よりも、法令改正や業界特有の表記ルールへの対応実績を比較軸にする
- 予算そのものが厳しく、機能要件もシンプルな場合 → 無理に自社受注にこだわらず、AIビルダーを勧めた上で「将来的に機能が必要になったら相談してほしい」という関係性を残す
実際にやってみて分かった、ChatGPT活用の得意・不得意
ChatGPTに任せて良かった部分
- AIビルダーと自社対応の違いを、感情論ではなく機能・料金の比較表として整理すること
- クライアントからよく聞かれる質問への、事実ベースでフラットなトーンの回答案を用意すること
- 「高すぎる」という反論にならないよう、価格帯ごとに向いているケースを分けて説明する構成を作ること
自分でやるしかなかった部分
- 比較表やFAQを、実際の商談の場で相手の反応を見ながら伝える順番や強弱を調整すること
- 自分自身が経験した具体的なトラブル対応の実績を、説得力のあるエピソードとして言葉にすること
- 「今回は無理に自社で受けない」という、関係性を優先した判断をすること
まとめ
- 「AIで安く作れるでしょ」という質問には、安さの事実を否定せず、機能・対応範囲の違いを比較表とFAQで整理するとChatGPTがかなりの部分を助けてくれる
- ただし、それだけでは相手は納得しにくく、実際のトラブル対応実績など自分自身の経験に基づく一言を添えて初めて説得力が出る
- シンプルな要件のクライアントには、無理に自社受注にこだわらずAIビルダーを正直に勧めたほうが、長期的な信頼につながるケースもある
- 次に同じ質問をされたときは、ChatGPTで作った比較表・FAQをベースにしつつ、必ず自分の実際の対応経験を一つ添えて説明する、という型に固定していきたい



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