「制作だけでなく、納品後のSNS運用も手伝ってほしい」——Web制作会社にいると、こういう相談を受けることが増えてきた。ホームページを作って終わりではなく、InstagramやXの投稿文まで巻き取ってほしいというクライアントは珍しくない。
うちの会社でも、私を含む数名のディレクターが、契約している数社分のSNS投稿文を毎週書いている。1社あたり週2〜3投稿だとしても、複数社を抱えると「今週の投稿ネタを考える」だけで半日近く溶けてしまう週もあった。
AIコピーライティングツールの「Catchy」がSNS投稿文のテンプレートを豊富に持っていると聞き、実際に契約中のクライアント3社分の投稿文づくりに1ヶ月ほど使ってみた。結論から言うと、投稿文の「量産」自体は驚くほど速くなり、ネタ切れで悩む時間はほぼなくなった。ただし、クライアントごとのブランドの温度感(丁寧なのかフランクなのか、絵文字を使うキャラなのか)までは、テンプレートを選ぶだけでは拾いきれなかった。この記事では、実際にクライアントワークで運用して見えた「任せていい部分」と「結局自分で直す部分」の境界線を書く。
導入は15分ほどで終わった
Catchyの導入手順は次の4ステップだった。
- 公式サイトからアカウント登録する(無料プランでも一部テンプレートは試せる)
- 「SNS投稿文」「Instagram」「Twitter(X)文章作成」などのテンプレートを選ぶ
- 商品・サービス名、伝えたいポイント、文字数の目安を入力する
- 生成された候補の中から、使えそうなものを選んでコピーする
テンプレートの入力項目はフォーム形式で、空欄を埋めていくだけなので迷う要素はほとんどなかった。エンジニア出身ではない、SNS運用を担当している同僚に触ってもらったが、5分もかからず最初の投稿文を1本出せていた。
TOI
「今週何を投稿しよう」と白紙のメモ帳を眺める時間がなくなっただけで、SNS運用の心理的なハードルがだいぶ下がった
実際にやってみた:3社分の投稿文を1ヶ月運用する
契約しているクライアント3社(飲食店1社、士業事務所1社、地域の工務店1社)の投稿文づくりにCatchyを使ってみた。まず飲食店のクライアントで、「新メニュー紹介」というテーマでテンプレートに入力すると、絵文字を交えた明るいトーンの候補が数本出てきた。これはそのまま使える完成度で、投稿までの時間が体感で3分の1程度に短縮された。
次に士業事務所のクライアントで同じように「新サービス紹介」を生成させたところ、出てきた文章は飲食店のときと同じテンションの高い、絵文字多めの文体だった。士業事務所はこれまで丁寧で落ち着いたトーンで運用してきていたため、そのまま投稿するとキャラクターがぶれてしまう内容になっていた。
使ってみて分かった3つのこと
1. ネタ出しと文章の型づくりは、ほぼ人の手を離れた
「今週は何を書こう」というゼロからの発想の部分は、テンプレートに情報を入れるだけでAIが埋めてくれるようになった。投稿の「たたき台を作る」という作業自体をなくせたことで、3社合計で週に2時間近くかかっていたネタ出しの時間が、30分程度まで縮まった。
2. クライアントごとの「トーン」は、毎回こちらで指定・修正しないと揃わない
前述の通り、テンプレートに業種名やキーワードを入れるだけでは、どのクライアントでも似たようなテンションの文章が出てくることがあった。「絵文字は使うか」「敬語の硬さはどの程度か」「一人称は何を使うか」をプロンプトや設定で毎回明示的に指定しないと、クライアントのブランドの温度感までは再現してくれないと分かった。士業事務所のケースでは、生成された文章から絵文字を外し、語尾を「です・ます」に統一する修正が毎回必要だった。
3. 事実関係の細部は、生成後に必ず自分の目で確認する必要があった
工務店のクライアントで「施工事例の紹介文」を作らせた際、入力していない工法名をAIが文章中で使ってしまったことがあった。実際には該当しない工法だったため、そのまま投稿していたら誤った情報を発信するところだった。数字・固有名詞・専門用語が絡む投稿文は、生成された文章をそのまま使わず、事実関係を必ず自分でチェックするのは他のAI活用と同じく欠かせない工程だった。
TOI
クライアントごとに「トーン指示のメモ」を最初に作っておいたら、修正の手間が半分くらいになった
誰でも再現できる導入・使い分けの手順
- CatchyなどのAIコピーライティングツールに登録し、SNS投稿文のテンプレートを試す
- クライアントごとに「絵文字の有無」「敬語の硬さ」「一人称」などをまとめた簡単なトーン指示メモを作っておく
- 投稿文を生成する際は、商品・サービス名や伝えたいポイントに加えて、そのトーン指示メモの内容もプロンプトに含める
- 生成された文章から、数字・固有名詞・専門用語が入っている箇所を必ず自分の目で事実確認する
- 絵文字や語尾など、ブランドのキャラクターに関わる部分は生成後に手動で調整する
- 1ヶ月ほど運用したら、クライアントごとに「そのまま使えた投稿」と「大きく直した投稿」を振り返り、テンプレートの入力項目を見直す

まとめ
- AIコピーライティングツール(Catchy等)は、SNS投稿文の「ネタ出し」と「たたき台作り」を大幅に速くしてくれる
- 複数クライアントを抱えている場合でも、テンプレートに情報を入れるだけで投稿文の量産自体は一瞬でできるようになった
- クライアントごとのブランドの温度感(絵文字の有無、敬語の硬さ、一人称)は、毎回明示的に指定しないと揃わない
- 数字・固有名詞・専門用語が絡む投稿文は、生成後に必ず事実確認をしないと誤った情報を発信するリスクがある
- 「トーン指示メモ」をクライアントごとに作っておくことが、修正の手間を減らしながら量産スピードを活かすコツ
複数クライアントのSNS運用を抱えて投稿ネタ出しに時間を溶かしている担当者は、まず1社分からテンプレート運用を試し、トーン指示メモを整えながら使い分けを広げていくとよさそうだ。



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