「来週、打ち合わせのお時間いただけますか」「◯日と◯日でしたらいかがでしょう」「あいにくその日は先約がありまして…」——クライアントとのメールでの日程調整だけで、気づけば3〜4往復。1件あたり5分だとしても、月に20件も打ち合わせがあれば単純計算で1時間半以上をメールのやり取りだけに溶かしている計算になる。
うちはWeb制作会社で、営業も兼ねている私が新規のクライアントとの初回打ち合わせから、既存クライアントの定例MTGまで日程調整を一手に引き受けている。「AI日程調整ツール」と呼ばれるサービスが2026年に入って一気に普及していると聞き、社内の候補日をカレンダーから自動で拾って調整してくれるという触れ込みのTimeRexを実際に導入して、1ヶ月ほど本番のクライアント対応で使ってみた。
結論から言うと、社内の空き時間をもとに候補日を出す作業はメールのやり取りが実質ゼロになるほど速くなった。ただし、「この相手には調整URLを送りっぱなしにせず、一言添えるべきかどうか」という気遣いの判断は、ツールが自動でやってくれるわけではなかった。この記事では、実際に1ヶ月運用して見えた「任せていい調整」と「結局人が一手間かけるべき調整」の境界線を書く。
導入は10分で終わった
TimeRexの導入手順は次の3ステップだった。
- TimeRexにアカウント登録し、GoogleカレンダーまたはOutlookと連携する
- 「調整可能な曜日・時間帯」「打ち合わせの標準所要時間(うちは60分に設定)」「前後に空けておきたいバッファ時間」を設定する
- 発行された予約ページのURLを、メール署名やクライアントへのメール本文に貼り付ける
Googleカレンダーの予定と自動で照合してくれるため、二重予約が起きない仕組みになっている点は導入前から期待していた通りだった。設定自体はチェックボックスとプルダウンが中心で、ITが得意でない同僚が担当した見積書作成の合間に試しても迷わず終わった。
TOI
「候補日を3つ挙げて、それぞれの都合を聞いて…」という調整メールを書かなくてよくなっただけで、精神的な負担がだいぶ減った
実際にやってみた:既存クライアントと新規クライアントの両方に使う
まず既存の付き合いが長いクライアント(月次の定例MTGを行っている相手)に対して、予約ページのURLをメールに貼って送ってみた。相手はURLを開いて空いている枠をクリックするだけで日程が確定し、双方のカレンダーに自動で予定が入った。これまで「候補を出す→返事を待つ→再調整」で2〜3日かかっていたやり取りが、送信から数十分で完了することも珍しくなかった。
一方、初めて商談する見込み客に対しても同じように予約URLだけを送ってみたところ、返信が来るまでに数日かかったケースがあった。後日その担当者に理由を聞くと、「URLだけ届いて、正直ちょっと事務的な印象を受けた」という感想をもらった。
使ってみて分かった3つのこと
1. 定例化している相手との調整は、ほぼ人の手を離れた
月次MTGや進行中の案件の定例打ち合わせなど、すでに関係ができている相手との調整は、URLを送るだけで完結するようになった。「候補日を出す」「都合を聞く」というやり取り自体をなくせるのは、想像していた以上に時間の節約になった。担当している案件が10件を超えると、この積み重ねだけで週に1時間近く浮いている感覚がある。
2. 初回商談・重要度の高い相手には、URLを送りっぱなしにすると素っ気なく映ることがある
前述の通り、初めて連絡する見込み客に予約URLだけを送ると、返信が遅れたり「事務的」という印象を持たれたりすることがあった。相手との関係性が浅いほど、「URLを送って終わり」ではなく、一言メッセージを添えたり、候補を絞って個別に連絡したりする一手間が必要だと分かった。ツール側にも「メッセージを添えて送る」機能はあるが、その一言を書くかどうか・何を書くかを判断するのは結局こちらの仕事だ。
3. 相手のITリテラシーによっては、かえって遠回りになることがあった
長年の付き合いがある取引先の中には、パソコンよりも電話でのやり取りに慣れている担当者もいる。そうした相手に予約URLを送ったところ、「これ、どう使えばいいの」と結局電話がかかってきたケースがあった。相手が普段どんな手段でやり取りしているかを見極めずにツールを一律導入すると、かえって手間が増える相手もいると実感した。
TOI
「全員に同じURLを送る」のをやめて、相手ごとに送り方を変えるようにしてから、クレームめいた反応がなくなった
誰でも再現できる導入・使い分けの手順
- TimeRexなどのAI日程調整ツールに登録し、GoogleカレンダーまたはOutlookと連携する
- 対応可能な曜日・時間帯、打ち合わせの標準所要時間、前後のバッファ時間を設定する
- 定例化している既存クライアントには、予約URLをそのままメールや署名に貼って送る
- 初回商談・重要度の高い相手には、URLだけでなく「お忙しい中恐れ入りますが、こちらから候補日をお選びいただけますと幸いです」など一言添えて送る
- 普段メールよりも電話でのやり取りが多い相手には、無理にツールを使わせず、これまで通りの手段も残しておく
- 導入後1ヶ月ほどは、相手からの反応(返信の速さ・トーン)を見ながら、URLを送る相手と個別対応する相手の線引きを見直す

まとめ
- AI日程調整ツール(TimeRex等)は、Googleカレンダーと連携するだけで10分ほどで導入でき、候補日を出す・都合を聞くというメールのやり取りをほぼゼロにできる
- 定例化している既存クライアントとの調整は、URLを送るだけで完結するようになり、体感で往復のやり取りがなくなった
- 初めて商談する相手や重要度の高いクライアントには、URLだけを送ると事務的な印象を与えることがあるため、一言添えるなどの気遣いは人がやる必要がある
- 相手のITリテラシーや普段のやり取りの手段によっては、ツール導入がかえって遠回りになるケースもある
- 「定例化した相手」と「関係性が浅い・年配の相手」で送り方を使い分けることが、クレームを防ぎながら時間を節約するコツ
日程調整のメールに時間を取られている担当者は、まずは付き合いの長い定例クライアントから試験導入し、相手の反応を見ながら送り方を調整していくとよさそうだ。



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