「催促しといて」と言われるたび、文面づくりで手が止まる
Web制作会社で働いていると、経理から「〇〇社さん、入金確認できてないので連絡してもらえますか」と言われる場面が定期的にある。金額の大小に関係なく、直接クライアントとやり取りしているのは営業ではなくディレクターやエンジニアの自分だったりするので、この手の連絡は結局こちらに回ってくる。
厄介なのは、督促メール自体は「支払い期日を過ぎています、お支払いください」の一文で終わるはずなのに、そこに角が立たない言い回しを足そうとすると急に手が止まることだ。強く言えば今後の関係がぎくしゃくするかもしれないし、遠慮しすぎると「催促になっていない」と経理から突き返される。毎回テンプレートを一から考え直すのも馬鹿らしいので、普段使っているChatGPT(GPT-5.5)に下書きを任せてみることにした。
TOI
お金の話をやわらかく伝える文章、地味にいちばん消耗する。
ChatGPTに督促メールを下書きさせてみた
使った手順
- 対象の請求書番号・金額・支払期日・現在の遅延日数をメモに整理する
- 相手との関係性(新規クライアントか、長年の取引先か)と、これが初回の督促か2回目以降かをChatGPTに伝える
- 「やわらかめ」「標準」「やや強め」の3パターンで下書きを出させ、それぞれの文面を見比べる
- 出てきた文面から、自社の言い回しの癖に合わせて言葉を調整する
ChatGPTへのプロンプトはこんな形にした。
以下の条件で、請求書の支払い督促メールを3パターン作成してください。
【条件】
・請求書番号:INV-2026-0714
・金額:33万円(税込)
・支払期日:8月20日(10日経過)
・相手:今回が初めての支払い遅延、取引歴は3年以上
・これは1回目の督促連絡
【出してほしい3パターン】
1. やわらかめ(行き違いの可能性を前提にした確認ベース)
2. 標準(事実確認+支払い依頼)
3. やや強め(2回目以降を想定した、期限を明確に切る文面)
【注意】
・脅迫的な表現は使わない
・支払い方法の再案内は末尾に添える
・件名も一緒に作成する
「角の立たない言い回し」は、確かにすぐ出た
3パターンとも数秒で出てきて、特に「やわらかめ」パターンの「行き違いでしたら大変恐縮ですが」「ご確認いただけますと幸いです」といった言い回しは、自分で一から考えるより明らかに角が取れていた。普段こういう文章を書くとき、つい「催促している」感が前面に出すぎてしまう癖があったが、ChatGPTの下書きは事実(請求書番号・金額・期日)を先に淡々と書き、依頼は最後に一文で添えるという構成になっていて、読み手側の心理的な負担を減らす型として素直に参考になった。
件名の提案も良かった。「【ご確認のお願い】ご請求書(INV-2026-0714)について」のように、開封前から内容が想像できて、かつ威圧感のない件名を複数出してくれたので、そのまま使えるものが多かった。
「相手によって効くか効かないか」の見極めは、結局自分でやるしかなかった
一方で、どのパターンをどの相手に送るべきかの判断は、ChatGPTには任せられなかった。実際に、3年以上の付き合いがある取引先には「やわらかめ」パターンを送ったところ、担当者から「すみません、経理に確認します」とすぐに返信が来て問題なく解決した。
問題は別のクライアントだった。契約して半年ほどの、まだ関係性が浅い取引先に同じ「やわらかめ」パターンを送ったところ、1週間経っても返信がなかった。後で分かったことだが、この相手には「行き違いでしたら恐縮ですが」のようなクッション言葉が「催促の緊急度が低い連絡」だと受け取られ、優先順位を下げられてしまっていたようだった。
TOI
やわらかく書いたつもりが「別に急ぎじゃないんだな」に変換されてた…

以前、保守契約の値上げ交渉メールをChatGPTに下書きさせたときも同じ構造にぶつかった。あのときも文面の「型」自体は速く出たが、相手との関係性ごとにどの型を選ぶべきかは自分で判断するしかなかった。今回の督促メールも、ChatGPTは「言い回しの選択肢」を出すのは速いが、「この相手にはどの選択肢が効くか」は、これまでのやり取りの温度感を知っている自分にしか判断できないということを、返信が来ない1週間で改めて思い知った。
結局そのクライアントには、2回目の督促として「標準」パターンをベースに、支払い期日を明記した文面を送り直したところ、翌日には入金確認の連絡が来た。関係の浅い相手や初回の督促では、やわらかさより「事実と期限を明確に伝える」標準パターンの方が結果的に早く動いてもらえる、という手応えも今回で得られた。
相手のパターン別、督促メールの選び方
今回の経験から、督促メールを送る前にChatGPTの下書きをどう選び分けるべきか、自分なりの判断基準ができた。
- 3年以上の付き合いがあり、今回が初めての遅延の相手 → 「やわらかめ」パターンでまず様子を見る。行き違いの可能性を前提にした文面で十分伝わることが多い
- 関係性がまだ浅い相手、または今回が初めての取引に近い相手 → 最初から「標準」パターンを使う。クッション言葉を厚くしすぎると、緊急度が伝わらず後回しにされるリスクがある
- すでに1回督促していて反応がない相手(2回目以降) → 「やや強め」パターンで、次の対応期限を明確に切る。ここでやわらかさを維持すると、さらに先延ばしにされやすい
実際に使ってみて分かった、督促メールでのChatGPT活用の得意・不得意
ChatGPTに任せて良かった部分
- 角が立たない言い回しの選択肢を、複数パターンまとめて短時間で出すこと
- 事実(請求書番号・金額・期日)を先に書き、依頼を後に添えるという読みやすい構成の型
- 開封前から内容が伝わる、威圧感のない件名の提案
自分でやるしかなかった部分
- 相手との関係性の深さや取引歴を踏まえて、どのパターンを選ぶかの判断
- 送った後の反応を見て、次の一手(パターンの切り替え)を判断すること
- 「やわらかさ」が相手にとって「緊急度の低さ」に誤変換されるリスクの見極め
まとめ
- 支払い督促メールの「角の立たない言い回し」は、ChatGPTに複数パターン出させることで一から考える手間が大幅に減る
- ただし、どのパターンをどの相手に送るかの判断は、関係性や取引歴を知っている自分にしかできない
- 3年以上の付き合いがある相手にはまず「やわらかめ」、関係が浅い相手や初回の督促には「標準」から入るのが今回得た目安
- 「やわらかさ」を出しすぎると、関係の浅い相手には「緊急度が低い」と誤解されて後回しにされることがある
- 次に督促メールを送るときは、まずChatGPTに3パターン出させてから、相手のタイプに合わせて選び、反応がなければ次のパターンに切り替える



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