クライアントとの名刺交換、ChatGPTに情報整理を任せてみたら「入力の手間」は消えたが「読み取り精度の確認」はサボれなかった話

業務効率化の実践記録

名刺、たまる一方で整理してこなかった

Web制作会社で働いていると、打ち合わせのたびに名刺交換をする。営業担当だけでなく、ディレクターやエンジニアの立場でも、クライアントの窓口担当者、先方の情報システム部門、時には制作を手伝ってもらう外部のデザイナーやライターとも名刺を交換する。

正直に言うと、この名刺、交換した瞬間はきちんとファイルに挟むが、その後がひどい。誰の連絡先だったか思い出せず、案件が終わって半年後に「あの会社の担当者、誰だったっけ」となることが何度もあった。

Sansanのような名刺管理サービスは便利だと聞くが、月額数千円〜数万円からで、名刺交換の頻度がそこまで多くない数名規模の制作会社には正直ちょっと重い。かといって手入力は面倒で続かない。そこで「ChatGPTの画像認識で名刺を読み取らせて、スプレッドシートに整理する」という運用を試してみることにした。

TOI

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専用ツールを契約するほどでもない、でも手入力は続かない。この「中途半端な量」が一番厄介なんですよね。

ChatGPTに名刺を読み取らせてみた

用意したもの

  • スマホで撮影した名刺の写真(1枚ずつ、正面から、影が入らないように)
  • ChatGPT(画像を送れるプラン。スマホアプリのカメラ機能からそのまま撮影して送ってもいい)
  • 結果を流し込むGoogleスプレッドシート

実際に使ったプロンプト

名刺の写真を送ったうえで、以下のように指示した。

この名刺画像から、以下の項目をCSV形式(カンマ区切り、1行目はヘッダー)で抽出してください。
・会社名
・部署名
・役職
・氏名(フリガナが分かれば併記)
・電話番号
・メールアドレス
・住所
読み取れない項目は空欄にし、絶対に推測で埋めないでください。

「読み取れない項目は推測で埋めない」という一文を入れるかどうかで、後の確認作業の負担が大きく変わった。これを入れずに試したときは、電話番号の一部が読めなくても、それっぽい数字で埋めてしまい、誤情報に気づかず登録しそうになったことがある。

スプレッドシートに流し込むまでの手順

  1. 名刺を1枚ずつ撮影し、ChatGPTに送って上記プロンプトでCSV出力させる
  2. 出力されたCSVをコピーし、Googleスプレッドシートに「データ」→「テキストを列に分割」で貼り付ける
  3. 1件ずつ、実物の名刺と見比べながら目視でチェックする(この工程は省略しない)
  4. 問題なければ、社名・案件名などのタグ列を手動で追加して保存する

まとめて何十枚も一気に処理したい場合は、名刺を並べて撮影し「複数の名刺が写っています。名刺ごとに分けて、それぞれ上記の形式で出力してください」と指示すれば、1回のやり取りで数枚まとめて処理できる。ただし枚数が増えるほど後述の読み取りミスも増えるので、5〜6枚程度を目安にした方が確認しやすい。

「入力の手間」は本当に消えたのか

結論から言うと、手入力の手間はほぼ消えた。これまで1枚あたり2〜3分かけていた手入力が、撮影とプロンプト送信だけで数十秒に短縮された。特にありがたかったのは、部署名や役職など「正式名称が長くて打ち間違えやすい項目」を、文字起こしとして正確に拾ってくれる点だ。

英語表記が併記された名刺(役職の英訳や海外拠点の住所など)でも、日本語部分と英語部分を項目ごとに分けて出してくれるので、海外案件の取引先の名刺整理でも役に立った。

精度確認はサボれなかった

一方で、「読み取った内容をノーチェックで登録する」ことは一度もできなかった。実際に間違いが出たパターンを整理すると、次の3つに分かれる。

パターン1: デザイン性の高い名刺

背景に写真や柄が入っていたり、文字が白抜き・箔押しになっている名刺は、読み取り精度が落ちる。特に会社ロゴと社名が一体化したデザインだと、社名の一部が読み取られなかったり、ロゴの装飾文字を社名の一部と誤認識することがあった。

パターン2: 電話番号・郵便番号などの数字

数字の読み間違いは、文章の誤字と違って気づきにくいので一番危険だと感じた。市外局番の「0」が抜け落ちていたり、似た書体の「1」と「7」を取り違えるケースがあった。電話番号とメールアドレスは、必ず実物と1文字ずつ照合するようにしている。

パターン3: 手書きの修正が入った名刺

異動や電話番号変更で、印刷された内容に手書きで二重線を引いて修正してある名刺は、旧情報と新情報の両方を拾ってしまったり、逆に手書き部分を無視してしまったりと、挙動が安定しなかった。この場合は最初から手入力した方が早い。

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「9割は正確」と聞くと安心してしまいそうになるが、残り1割が電話番号やメールアドレスだと、そのまま連絡できなくなる。だからこそ確認は省略できなかった。

結局どう運用しているか

今の運用は、次のように役割分担を決めている。

  • ChatGPTに任せる部分: 手入力なら時間がかかる社名・部署名・役職・住所の文字起こし
  • 必ず自分で確認する部分: 電話番号・メールアドレスなど、間違えると実害が出る項目
  • 最初から手入力する部分: デザイン性の高い名刺、手書き修正が入った名刺

この分担にしてから、名刺整理にかかる時間は以前の半分以下になった一方、電話番号やメールアドレスの誤登録は一件も出ていない。専用の名刺管理サービスを導入するほどの枚数がない小規模チームやフリーランスであれば、ひとまずこのやり方で十分実用に耐えると感じている。

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まとめ

  • ChatGPTに名刺の写真を送り、CSV形式で項目抽出させれば、手入力の手間は大幅に減らせる
  • プロンプトには「読み取れない項目は推測で埋めない」という指示を必ず入れる
  • 電話番号・メールアドレスなど実害につながる項目は、必ず実物と目視で照合する
  • デザイン性の高い名刺・手書き修正入りの名刺は、最初から手入力した方が早い
  • 専用の名刺管理サービスを契約するほどの枚数がないなら、この運用で十分実用になる

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