クライアントとの商談、AI議事録ツール「Notta」に文字起こしを任せてみたら「記録」は正確だったが、「言った言わない」の防止までは任せきれなかった話

業務効率化の実践記録

Web制作の仕事をしていると、クライアントとの打ち合わせで「あの時そう言いましたよね」「いえ、そこまでは言っていません」という食い違いが、納品間際になって表面化することがある。議事録は毎回取っているつもりでも、手元でメモを取りながら話を聞くと、どうしても自分の理解でフィルターがかかったメモになってしまい、あとから見返しても「本当にそう言ったのか」の証拠にはなりにくい。

そこで、商談の音声をそのまま自動で文字起こし・話者分離してくれるAI議事録ツール「Notta」を、実際のクライアント商談3件で使ってみることにした。結果を先に言うと、発言内容そのものの文字起こし精度は驚くほど高く、聞き逃しはほぼゼロになった。ただし、「言った言わない」トラブルを防ぐという本来の目的については、文字起こしをそのまま使うだけでは逆効果になりかねない場面があった。この記事では、実際に商談で使ってみて分かった「任せていい部分」と「人が手を入れないと危ない部分」を書く。

導入は15分、使い方も拍子抜けするほど簡単だった

Nottaの導入手順は次の3ステップで、拍子抜けするほど簡単だった。

  1. Nottaのアカウントを作成し、Zoomと連携する(商談はすべてZoomで実施していたため)
  2. 商談開始時にNottaのボットを会議に参加させる、または録音アプリを起動する
  3. 商談終了後、数分待つと文字起こしと話者分離(誰が話したか)済みのテキストが自動生成される

初回は「本当にこれだけで議事録が残るのか」と半信半疑だったが、30分の商談が終わって5分も待たないうちに、発言のほぼすべてがテキスト化されて出てきたのには素直に驚いた。専門用語や社名の聞き取りミスはあったものの、内容の大筋を追う分にはまったく問題のない精度だった。

TOI

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商談中にメモを取る手を止めて、相手の話にちゃんと集中できるようになったのが地味にありがたかった

実際にやってみた:3件の商談で使い比べる

3件の商談でNottaを使ってみたところ、それぞれ違う課題が見えてきた。

1件目は担当者1名との1対1の打ち合わせで、これは話者分離もほぼ完璧、文字起こしの精度も高く、議事録作成の手間がほぼゼロになった。

2件目はクライアント側の担当者が2名参加し、途中で話が重なる場面があった打ち合わせだった。ここで、Nottaの話者分離が「担当者A」と「担当者B」の発言を数箇所取り違えていることに気づいた。誰がどの発言をしたかは、契約や仕様に関わる話ほど重要になる部分なので、これをそのまま信じて共有していたら危なかった。

3件目は、こちらの提案に対してクライアントが難色を示した、やや緊張感のある商談だった。文字起こしができたので「議事録として、話した内容をそのままテキストでお送りします」とクライアントに送ったところ、思っていたのと違う反応が返ってきた。「言葉尻を全部拾われている気がして、身構えてしまう」という趣旨のやんわりとした指摘だった。

使ってみて分かった3つのこと

1. 発言内容の文字起こし精度は、実務で使える水準だった

聞き取りにくい専門用語や固有名詞を除けば、30分の商談の文字起こしを見返して「聞き逃していた」と気づいた発言はゼロだった。特に、自分がメモを取りながら聞いていると抜け落ちがちな「ついでに言われた小さな条件」まで拾えていたのは、手動の議事録にはない利点だった。

2. 複数人が同時に話す場面では、話者分離を鵜呑みにしてはいけない

2名以上が参加する商談で、発言の重なりや相槌のタイミングによっては、話者ラベルが誤って割り当てられることがあった。これは特に、「誰が承認したか」「誰がその条件を提示したか」が後で重要になる契約・見積もり関連の商談では致命的になりうる。実際に使ってみて、話者分離の結果は必ず自分の記憶と突き合わせて確認する運用が必須だと分かった。

3. 文字起こしをそのまま送ることは、「言った言わない」の防止にならないどころか逆効果になりうる

これが一番意外だった発見だ。文字起こしの全文をそのままクライアントに送れば、証拠として機能して安心だろうと思っていたが、発言をそのまま全部残されていること自体が、相手にとって「監視されている」ような圧迫感を与えてしまう場合があるとわかった。議事録として送るべきは、発言の逐語録ではなく、決定事項と確認事項を人の手で要約し直したものだと痛感した。

TOI

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「証拠を残す」つもりが「相手を委縮させる」になっていて、目的と手段を取り違えていたと反省した

誰でも再現できる導入手順

  1. Zoomなど普段使っている会議ツールとNottaを連携させる
  2. 商談開始時にNottaのボットを参加させ、文字起こしと話者分離を自動で行わせる
  3. 商談終了後、話者ラベルの割り当てが正しいか、特に発言が重なった場面を中心に自分の記憶と突き合わせて確認・修正する
  4. クライアントに送る議事録は、文字起こしの逐語録ではなく、決定事項・確認事項・次のアクションだけを人の手で3〜5行程度に要約し直す
  5. 逐語録そのものは社内の記録として保管し、「言った言わない」が実際に発生した場合の確認用にとどめる
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まとめ

  • AI議事録ツール「Notta」の文字起こし精度は実務で使える水準で、聞き逃しの防止には確実に効果があった
  • 複数人が同時に話す場面では、話者分離(誰が話したか)を鵜呑みにせず、必ず人の目で確認・修正する必要がある
  • 逐語録をそのままクライアントに送ることは、証拠として安心する一方で、相手を委縮させて関係を悪くするリスクがある
  • クライアントに送る議事録は、逐語録ではなく決定事項・確認事項を人の手で要約し直したものにする
  • 逐語録自体は社内保管用として残し、「言った言わない」が実際に起きたときの確認材料として使い分けるとよい

商談の記録をAI議事録ツールに任せる場合は、「文字起こしの精度」だけでなく「その記録を誰にどう見せるか」まで含めて設計しないと、かえって信頼関係を損ねかねないというのが、3件の商談を通じて得た一番の学びだった。

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