「あれ、更新月っていつだっけ」で毎回スプレッドシートを開いていた
Web制作会社で複数のクライアントサイトの保守を担当していると、地味に神経を使うのが「どのサイトの保守契約がいつ更新なのか」の管理だ。契約更新のタイミングはクライアントごとにバラバラで、月払いのところもあれば年払いのところもある。うちではスプレッドシートに契約開始日と更新月を一覧化していたが、繁忙期に差し掛かると開くのを忘れ、気づいたら更新月を数日過ぎていて慌てて連絡する、ということが年に何度かあった。
「更新を忘れていた」という事実そのものより、クライアントに「この会社、契約管理がちゃんとしていないのでは」と思われることの方が実害が大きい。スプレッドシートを毎日確認する習慣をつければいい話ではあるのだが、忙しい時ほど確認を後回しにしてしまうという、いかにも人間らしい失敗を繰り返していた。ちょうどClaudeのデスクトップアプリでGoogleカレンダーと連携できるコネクタ機能が使えるようになっていたので、これを使って更新期日の管理そのものをAIに任せてみることにした。
TOI
「忘れないようにする」をがんばるのではなく、「忘れられない仕組み」に切り替えたほうが早いと気づくのに数年かかった。
Claudeに「保守契約カレンダー」の管理を任せてみた
使った手順
- Claudeデスクトップアプリの設定から、Googleカレンダーのコネクタ(MCP経由の連携機能)を有効化する
- 保守契約の一覧(クライアント名を伏せた形で、契約開始日・更新月・支払いサイクル・過去の連絡履歴)をまとめたスプレッドシートをClaudeに読み込ませる
- 「各契約の更新月の1ヶ月前と1週間前に、Googleカレンダーへリマインド予定を作成して」と指示する
- 実際にクライアントへ連絡した後、「いつ・どのクライアントに・何を伝えたか」を毎回Claudeに記録させ、次回以降の履歴として蓄積する運用にした
Claudeへのプロンプトはこんな形にした。
あなたはWeb制作会社の事務管理を手伝うアシスタントです。
添付のスプレッドシートには、保守契約先の更新月・支払いサイクル・
直近の連絡履歴が入っています。
【やってほしいこと】
1. 各契約の更新月の1ヶ月前と1週間前に、Googleカレンダーへ
リマインド予定を作成する(タイトルに契約番号のみ入れ、
クライアント名は本文欄に記載する)
2. すでに当月分の連絡を済ませている契約は、リマインドを作らない
3. 支払いサイクルが「年払い」の契約は、更新月の2ヶ月前にも
一次リマインドを追加する
【前提】
・クライアント名など固有情報は本文欄に留め、予定タイトルには
契約管理番号のみを使うこと
「期日の見落とし」はきれいになくなった
スプレッドシートとGoogleカレンダーを連携させてから、更新期日を見落として慌てて連絡する、という事態が一度も起きていない。年払い契約には2ヶ月前・1ヶ月前・1週間前と段階的にリマインドが入るようになり、「今月どのクライアントに連絡すべきか」を毎朝スプレッドシートを開いて確認する作業自体がなくなったのは、想像していた以上に精神的な負担が減った。
過去の連絡履歴を蓄積する運用も地味に効いている。「前回はいつ・どんな文面で連絡したか」をClaudeに聞けば即座に出てくるようになり、毎年同じような文面を一から考え直す手間がなくなった。特に年払い契約は1年に1回しか触らない業務なので、前回のやり取りを覚えていないことが多く、この点は素直に助かった。
TOI
カレンダーに「契約更新リマインド」が並ぶようになって、はじめて自分がどれだけ多くの契約を抱えていたかを客観視できた。

でも「連絡すべきタイミングの判断」は結局自分でやるしかなかった
期日の見落としがなくなったのは良かったのだが、リマインドが来た後の「今、このクライアントに連絡していいタイミングか」の判断まではAIに任せられなかった。あるクライアントは、リマインド通り1ヶ月前に更新案内を送ったところ、ちょうど決算期の資金繰りで忙しい時期と重なっており、後から「あのタイミングでの連絡は正直きつかった」と言われたことがある。
Claudeはスプレッドシートに書かれた情報(契約更新月・支払いサイクル)からリマインドの日程は正確に作れるが、「このクライアントは今どういう経営状況にありそうか」までは、スプレッドシートに書いていない以上判断できない。これは当然の話で、決算期の情報やクライアントの業界特有の繁忙期は、日頃の雑談や請求書のやり取りの中で自分が体感として持っている情報であり、契約管理シートには載せていなかった。
結局、「いつリマインドを出すか」はAIに任せ、「実際にいつ連絡を送るか」の最終判断は自分の頭の中にあるクライアントごとの事情と照らし合わせて決める、という二段構えの運用に落ち着いた。リマインドが来た日にそのまま送るのではなく、一度「このクライアント、今のタイミングで大丈夫だったか」を思い出す一手間を挟むようにしている。
パターン別、保守契約の更新管理でAIに任せていい部分・いけない部分
- 更新期日の把握・リマインド作成 → 完全に任せて良い。人間の「うっかり」が入り込む余地をなくすのがAIの一番の価値
- 過去の連絡履歴・文面の蓄積 → 任せて良い。特に年1回しか触らない年払い契約では、前回のやり取りを思い出す手間が消える
- 繁忙期・決算期などクライアント固有の事情を踏まえたタイミング判断 → スプレッドシートに明記されていない情報はAIには判断できない。自分の記憶や日頃のやり取りから判断する
- 値上げなど、関係性に影響する連絡の言い回し → 下書きはAIに作らせて良いが、送る前に必ず自分の言葉に調整する
- 支払いが遅れがちなクライアントへの督促を兼ねた更新連絡 → リマインドのタイミングだけAIに任せ、連絡文面と送るかどうかの判断は必ず自分で行う
実際にやってみて分かった、Claude活用の得意・不得意
Claudeに任せて良かった部分
- 契約更新期日をスプレッドシートから読み取り、Googleカレンダーへ段階的なリマインドを作成すること
- クライアントごとの過去の連絡履歴を蓄積し、必要なときにすぐ参照できるようにすること
- 年払い契約のように「1年に1回しか触らない」業務のうっかり忘れを構造的になくすこと
自分でやるしかなかった部分
- リマインドが来た後、実際にそのタイミングで連絡していいかどうかの判断
- クライアントの決算期・繁忙期など、スプレッドシートに書いていない事情を踏まえた調整
- 関係性に影響する内容(値上げ・支払い督促を兼ねた連絡など)の文面の最終確認
まとめ
- 保守契約の更新期日管理は、ClaudeとGoogleカレンダーを連携させることで「見落とし」を構造的になくせる。特に年1回しか触らない年払い契約で効果が大きい
- ただしリマインドが来た後、実際に連絡するタイミングの最終判断は、クライアントの経営状況や繁忙期といった「スプレッドシートに書いていない情報」を持つ自分にしかできない
- AIには「期日を忘れないための仕組み」を任せ、「今このタイミングで連絡していいか」の判断は人間が持つ、という役割分担にすると運用がうまく回る
- 次に新しいクライアントの保守契約を結ぶときは、契約管理シートに「繁忙期・決算期」の欄を追加し、AIに渡す情報そのものを増やしていきたい



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